場所で売る時代の終わりと努力の方向

本記事は、Piccolo Kyotoとお取引のあるテーラー様及び専門店様及び新規でオーダーシューズシステムをご検討中のオーナー様に向けたものとなります。

米アマゾンの2025年の年間売上高が、ついにウォルマートを抜いて世界首位になりましたね。

その額は7169億ドル。 実に13年ぶりの首位交代だそうです。

もちろんウォルマートも負けていたわけではありません。前年比4.7パーセント増の7131億ドル。決して調子が悪かったわけではないのです。

それでも抜かれた。 ここに今の時代の勝ち方が残酷なほどはっきり表れている気がします。

売場が負けた日

かつて世界の小売といえばウォルマートとカルフールの二強時代でした。 そこにテスコやコストコが続く、いわば巨大な売場と安さと物流力のガチンコ勝負だったわけです。

ところがこの13年で土俵そのものがガラッと変わってしまいました。

ECクラウドAI投資。 単にモノを売る力ではなく、経済を支える基盤そのものを握った企業が、ついに世界の頂点に立った。

昔のランキング上位はみんな巨大な売場を持つ企業ばかりでした。 でも今、物理的な売場を持たないアマゾンが世界一になった。

この変化は商売の本質が場所から構造へ移ったことを物語っています。

結局みんな時間を奪われたくない

今の消費者が求めているものは実は驚くほどシンプルです。

早い。 迷わない。 考えなくていい。

品質が良いとか接客が丁寧とかいう以前に、自分の時間を奪わないこと。これが今の時代、最大の価値になってしまっているのですね。

これが速さと合理が支配する世界の現実です。

ここで大事だなと思うのが、構造の読み方という視点。 構造を読むというのは、どこで勝負が決まるのか?また、そこでは自分がどうしても勝てないかを見抜いて諦めることだと思います。

言い換えれば、努力の方向を間違えないための地図を持つようなものですね。

価格や納期、配送スピード。 ここでアマゾンと勝負しようなんて、それはもう努力の問題ではありません。構造的に最初から勝ち目がない。同じ土俵に立ってしまえば、頑張れば頑張るほど消耗して、最後にはボロボロになってしまいます。

一番怖いのは、勝てない場所で全力を出し続けることです。

遅さと非合理にこそ僕らの勝機がある

私がいる靴やスーツ、特にオーダーの世界は、アマゾン的な構造とは真逆のところにあります。

測って。 合わせて。 直して。 仕立てる。めちゃくちゃ時間がかかります。

これらは時間と手間を積み重ねることでしか成立しない仕事ですよね。 速さでも合理化でも標準化でもない。 むしろ遅さや非合理、個別対応になります。でも、これこそが価値になる世界になるのではないかと思います。なので、精度が高くなければいけない。

世の中全体が速さに突き進むほど、こういう商売は構造的に不利に見えます。だからといってやみくもに効率を追いかけるような努力をしたら、現場を守るどころか、かえって自分たちの首を絞めてしまいます。

比べられない土俵をどう作るか

もう一つ大事なのが、比較されない土俵を作ること。

人間は価格や納期といった数字で見えるものしか比較できません。 でも逆に、

なぜこの設計なのか。 なぜこの面倒な工程を残すのか。

こういうこだわりの部分は簡単には比べられません。 ここを丁寧に伝えていくことで、商売の土俵を価格競争の外側へそっとずらしていく。これも立派な構造の読み方だと思います。

努力の量より努力の方向

商売の本質は、結局誰が価格を決めているかだと思うのです。

大量流通の世界では市場や仕組みが価格を決めますが、オーダーの世界では技術もさることながら、信頼や体験、お客さんとの関係性が価格を決めます。

ここを取り違えると、高いと言われるとか、値下げしなきゃ売れないといった悩みから一生抜け出せなくなります。

構造を読むというのは、がむしゃらに頑張ることでもなく、頑張る場所を間違えないことだと思います。

速さと合理が支配する時代に、遅く、非合理で、非効率な商いを続けるしかない。 だとしたら、なおさら構造の理解は欠かせないです。

努力の量より努力の方向。 このちょっとした差が、これからの商売の明暗を静かに分けていくのだと思います。本当、難しいことなのですが、、。

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