カルビーのパッケージ白黒化(2色刷り)について話題になっていたので自分なりの考察をブログにしていました。
先日発表された最新のデータ(日経POSデータ)を見て、さらに深い課題を突きつけられた気がしました。
記事の見出しに躍っていたのは、「カルビー 白黒ポテチの誤算」「販売金額、4週連続減」という厳しい現実でした。
1. 「シズル感」を失った食品の弱点
溶剤(インク)不足への画期的な対応として話題を集めた白黒パッケージですが、実際の売り場では一時的な話題性が去ると、販売金額が右肩下がりに落ち込んでしまったようです。
大学の教授が指摘するように、食品パッケージにおける「色」は、単なるデザイン(装飾)ではなく、「食欲をそそる要素(シズル感)」そのものでした。 色を削ぎ落とした結果、「おいしそう」「食べたい」という感情的なトリガーまで削ぎ落とされてしまったわけです。
2. ファッションと食品の違い――「削ぎ落としていいもの・悪いもの」
ここで非常に面白い対比が見えてきます。
- アパレルや革製品(ファッション): 色やロゴを削ぐ(モノクロ化する)ことで、素材の質感、シルエット、縫製といった「構造の美」が際立つ。
- 食品パッケージ(消費財): 色を削ぐと、中身(おいしさ)がイメージできなくなり、「購買心理」が冷めてしまう。
つまり、「色を削ぐ(引き算の美学)」というアプローチは、「機能や感情を補うための色」なのか、「ただ飾るためだけの過剰な色」なのかによって、結果が天と地ほど変わるということです。
3. 「色」の役割を教えてくれた
カルビーは7月に入り、原材料の調達に目処が立ったとして、一部商品を元のカラーパッケージに戻すと発表しました。
私たちが普段何気なく受け取っている「色」が、いかに人間の感情や意思決定(買いたいという心理)を強力に動かしているかを証明した、非常に興味深いマーケティングの実験結果だったと考えられます。
「過飾をやめ、本質に戻る」という流れ自体は、これからも時代が必要としていくはずです。
しかし、何を削り、何を残さなければいけないのか。 カルビーの「白黒ポテチ」は、ものづくりやデザインに関わるすべての人にとって、「残すべき本質(シズル感や感情)まで削ってはいけない」という、重要な教訓を残してくれたのではないでしょうか。
