その「クーポン券」は、誰のためのものか。

本記事は、Piccolo Kyotoとお取引のあるテーラー様及び専門店様及び新規でオーダーシューズシステムをご検討中のオーナー様に向けたものとなります。

マーケティングの世界では、離脱しそうな顧客に「限定クーポン」を出して繋ぎ止める手法があります。しかし、販売の現場に立つ私は、それが時として「もっとも無意味な一枚」になることを知っています。

その教訓の原点は、私の高校時代の陸上部にあります。

1. 「既製品」のメニューに体を合わせる悲劇

私は陸上の推薦枠で高校に進学した。しかし、肉離れ、重度の椎間板ヘルニアや坐骨神経痛を発症。個人競技であるはずの陸上で、待っていたのは「全員同じ練習メニュー」という、パーソナライズとは無縁の環境だった。

期待もされていないという焦りから、私は針やブロック注射を打って痛みを麻痺させ、無理やり自分を「一律の型」にハメ続けた。 今になってようやくわかったこと。これは、サイズの合わない靴に、足を削って無理やり突っ込むようなものだ。 どんなに良い靴(練習)でも、その人の骨格や歩き方に合っていなければ、それはただの凶器になる。

2. クーポン券は「理解」の代わりにはならない

心身ともに限界が訪れ、退部を決意した私に、指導者からは「キャプテンになってほしい」と打診された。今、ふと振り返ると、それは、顧客が離れる直前に慌てて出す「クーポン券」と同じなのではないか。

私が欲しかったのは、称号という特典ではない。ブロック注射を打つ前に、私の走り方や痛みの原因を見て、「君の足には、このインソールが必要だ」と言ってくれるような、個別の眼差しだったのだ。 信頼が切れた後に、後出しで出されるメリットは、もはや呼び水にはならない。

3. 販売のプロとして、あの日を振り返る

私はキャプテンを断り、部活を去った。練習風景を避けるように帰る道すがら、糸が切れたように生活が乱れたこともあった。

だからこそ今、靴やスーツを販売する際、私は自分に言い聞かせている。 「このお客様の『悩みや迷い』はどこにあるのか?」 「一律の流行りや、ブランドの都合を押し付けていないか?」

スーツの袖丈を1cm調整するように、靴の幅を数ミリ見極めるように、その人の「今」に合わせること。

4. 売ることは、寄り添うこと

もし、あなたが「離れそうな顧客」を前にして、クーポン券を配ろうとしているなら、少しだけ立ち止まってほしいです。 その人は、もっと手前の段階では、例えば「自分のサイズを見てほしい」というサインを出していないでしょうか。

既製品の論理(マス)で人を動かそうとするのではなく、一人ひとりの「歩幅」に寄り添うこと。 それが、スポーツの現場でも、そして靴やスーツを売る現場でも、変わることのない本質だと私は考えています。

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