素敵な経営者が、1,000円のペンを選ぶ理由。

道具の「設計」に、私は感動しています。

事業とは直接関係のないお話ですが、どうしてもご紹介したい道具があります。 手元にある二本のペン。パイロットの多機能ペン「エボルト」と、モンブランの「マイスターシュテュック」です。

片方は数千円の実用品、もう片方はその数十倍の価格がする格式ある一本。 私はこの対極にある二つの道具の「設計」に、深く感動しています。

素敵な経営者に教えていただいた「本質」

実はエボルトの方は、とある大きな製造業を営まれている社長さんから教えていただいたものです。数々の修羅場をくぐり抜け、大きな組織を率いている方が、ステータスとしての高級ペンではなく、あえてこの実用的な一本を選び、使いこなしていらっしゃる。その姿に、私はプロとしての本当の格好良さを見た気がしました。

現場の最前線で戦う私たちの仕事において、本当に必要なのは「見栄」ではなく「機能」なのだと、改めて教えられた瞬間でした。

現場の槍、黒衣の盾

誤解を恐れずに言えば、私はこの二本を「優劣」で選んでいるのではありません。「役割」というインフラとして使い分けています。

  • 機能の槍(エボルト):ノートに記した膨大なメモを読み返し、重要事項を「赤」で瞬時にチェックしていく。そんな思考の軌跡を辿る「動」の場面において、手元のひねりだけで色を切り替えられる回転式の利便性は、一度使うと手放せないインフラです。 ハードな使用に耐えうる剛性はもちろん、この「ヘリンボーン(杉綾)」の彫刻は単なる装飾ではなく、汗をかいても滑らないための「指先のグリップ」として設計されています。意匠そのものが、現場で戦うための機能なのです。
  • 品格の盾(モンブラン): 一方で、契約書への署名や、格式ある場での商談といった「静」の場面。そこでは、相手への敬意を形にし、その場の空気を整える「品格」という名のインフラが必要になります。

全てを完遂するための「装備」として

「全てを一人でやり遂げなければならない」 これは、現代の経営者の皆様が置かれているリアルな状況ではないでしょうか。

泥臭い現場作業から、覚悟を決めた商談まで。状況に合わせて自分を瞬時に切り替え、常に高いパフォーマンスを出し続けることが求められます。

このペンが持つ合理的な使い分けは、私がピッコロ京都のスーツに込めた「インフラとしての思想」と完全に一致しています。ブランドロゴを誇示するための服ではなく、どんな過酷な局面でも経営者の思考と動きを止めないための「設計」。それこそが、私が提供すべき価値だと考えています。

私のこだわり

洋服を生業としている人間が、ペン一本に対してここまで熱心にお話しするのは、少しおかしいと思われるかもしれません。ですが、私はこう考えています。

ペン一本に宿る創意工夫。その小さな「設計」に込められた意図を汲み取れなければ、経営者の方々の過酷な日常をミリ単位で支える仕事など、到底務まらない。そう自分を律しています。

名前や価格に惑わされるのではなく、その中身(システム)が自分の仕事をどう支えてくれるかを見極める。

この二本のペンが私の思考を支えてくれるように、私が手掛けるスーツが、皆様のビジネスを支える強固なインフラになることを願っています。

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